book2

□この口づけは溺死
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三橋とするキスが好きだ。

俺に背中を向けて他のことをしている三橋に少しずつ近寄り、か弱い肩に手を置く。
振り向いた瞬間、「何?」と言う言葉を遮るように薄い唇に噛み付く。
驚きのあまり塞いでしまった唇を舌先で撫で回し、くすぐったさで開いてしまった口内に舌を差し込む。

生温さを感じながら上顎を舐め、唾液が溢れてしまいそうなほど激しく優しく愛撫する。
唾液も吐息も舌も全部が全部、甘く感じるのは三橋としているからだ。

高校生にしては淡白な方だと思っていたが、それは間違っていたぜ。
その証拠に、先がもっと欲しくて三橋の息があがっているのが分かっていても止められねー。


むしろ、俺とのキスのせいで呼吸困難になればいいなんて思っていたら恨まれるだろうな。


そんな不謹慎なことを考えていたら、三橋の舌が俺の舌に絡み付いてきた。
縋るように首に両手が巻きついてくる。
俺も右手で頭を押さえつけ、舌をちぎってしまいそうなほど吸ってやる。

上気した三橋の顔にそそられ、もう何も考えられない。
グチュグチュと鳴る水音が俺たちを煽る。

赤く腫れた唇。口の端から零れる透明な液。
それすらも愛しいなんて、堕ちるとこまで堕ちてしまったとしか思えねー。


う〜ん、天国にいるのに野蛮。


コイツは気づいてないけど、教室の後ろの扉は全開だ。
それなのに舌を絡めつつ口内中を舐め回して、もう一度絡めてしまう。
ここまで激しいキスをしていたら、廊下にも響きわたるかもな。


でも、そんなのはどうでもいい。
今、俺に必要なのは、この瞬間が永遠になるほどのキスをすることだから。



*end*
 

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