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□ラブリーベイベー!
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「田島くん、誕生日にほしい、もの、ある?」
恥ずかしそうに尋ねる三橋に田島は後ろからギュッと抱きつき答えた。
「三橋の家で美味いもん食いたい。あと、泊まっていい?」
「う、ん。わかった。お母さんに言っておく、ね。」
「おう。」
このやりとりから数日が過ぎ、今日は10月16日。そして『田島の誕生日』ハードな部活が終わる。いつも一緒に帰宅している二人は、これからの予定を思い出し特別な気分になっていた。
「三橋のほうが誕生日が先なんだよなー。」
少しだけ悔しそう表情で三橋にじゃれつく。三橋も田島とのスキンシップが好きなので嬉しそうだ。
「う?」
だが、話の意味がわからないようで顔に?が出てしまっている。
(困った顔もカワイイんだよな。)と思いつつ話を続けた。
「だって、好きな奴よりは先に大人になりたいじゃん。その方が頼もしくね?」
最後のほうは恥ずかしいのか小さい声だ。
「……。でも、おれ、どんな田島くんでも、好きだよ…。」
「俺も三橋のこと好きだぞ!」
予想外の甘い告白に気分がよくなり、田島は三橋にキスをしようとした…。
‘ヒャリリリン ヒャリリリン’
三橋のポケットから携帯が鳴ったので、唇まで数センチのキスを中断する。
「え?う、うん。わかった。気をつけてね。」
電話の相手は三橋のお母さんらしい。詳しい内容までは聞こえなかったが、何回も会っているので声は覚えている。
「三橋、お母さんからか?何だって?」
「あの、ね、田島くん。お母さんもお父さんも、群馬に泊まるっ、て。ごめん、ね。祝うのおれだけになっちゃう…。」
三橋は泣きそうな顔で、心の底から田島に謝る。
「そっか、用事があるならしょーがねーよ。その代わり朝まで楽しもうな。」
「うん。楽しむ。」
お互いの額をくっつけながら、二人は微笑んだ。