Novel

□BRAKE LOVE HEART
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ドウモ、この物語の登場人物で比較的主人公と呼べるであろう人物デス。ああ、嫌だね面倒臭い。こんな前フリしなきゃいけないなら彰斗に任せれば良かった。押し付ければ良かった。なんでボクがこんな語りをしなくちゃいけないの面倒臭い。
あ?ああ、ボクの名前は風間皐月。邑淡(ゆうたん)学園高等部普通科2年。身長はまだまだ伸び盛りだ。153cmで止まるなんてボクは許さない。むしろこれで止まったら回りのボクよりでかいやつらを再起不能なまでにシメてやる。ああシメてやるともさ。そうじゃないときっと腹の虫がおさまらない。

「……皐月?」

「兄ちゃんが不機嫌そうなのはいつもだけどさ、いきなりどうしたの?」

「人の話を不機嫌面で聞けなんてどこのどいつに習ったのよ」

……。失礼な人達だね。

「別に」

喋る以外に表情筋が特に動いた様子はない。どうやらボクは表情そのままに適当に返事をしたらしい。別にボクの表情なんてどうでもいいんだけど。
ふう、と小さく息を吐いて視線を動かすと、何故か三人全員と目が合った。うわ、なにこれ気持ち悪……。

「皐月、なんかさっきから変だヨ?疲れてるんじゃない?」

そう言ったのはクラスメイトの闇埜彰斗。彰斗曰くボクは彼の親友なんだそうだ。重たい気持ちをありがとう。

「皐月兄ちゃんがおかしいのはいつも通りじゃないの?あ、冗談冗談!睨まないで!」

ギロリと睨んでやった。失礼だよリン。年上は敬いなよ。
未だにぶんぶんと頭と手を左右に振って許しを請うているのは、ボクが所属する生徒会の会長の弟の海皇子リン。大層立派そうな苗字をしているけれどそれは旧姓(って言っていいのかな)であって、本来はリン・レジェンダート。拾われっ子なのだ。彼は。ちなみに歳はまだ12になったばかりの小学六年生。

「大人げないことしてないでよ。年下に示しがつかなくなるわよ、生徒会」

この室内唯一の女性である朱宮有希。といっても、女らしいところが膨らんでいないだけでなく、背も小さい上に性格も(ボク的に)余り好感の持てないみみっちい女だ。いや、別にケチ臭い訳ではないから用法が間違っている気がするが気にしない。
どうやらボクはこいつと気が合わないのだけれど、何故か彰斗が自分の付き添いだとか言って一緒になることが多い。何を考えているのやら。
だがしかし彼女を怒らせるなかれ。有希は極道の家の一人娘なのだ。それも親が親バカときている。まさか自ら死にに行くような真似はしまい。
さて、この三人プラスボクで何故か料理教室のまね事をしていた。
何故かって?それは至極簡単で解りやすくて下らないこと。聞くのもバカバカしいくらいだ。

有希が不器用ではなく無器用だから。

これが理由である。更に言い詰めれば、憧れの想い人の誕生日にケーキを作りたいとか言っていたけれど、一人で作れるわけもなく。だから彰斗経由でボク、リンが集まったのだ。
そして開催された料理教室もどき。はあ、本当アホらしい。



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