□第一章 日常の崩壊
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ーチュンチュン…
俺はカーテンの隙間から射し込む光とスズメの鳴き声で目を覚ました。
まだ体が思うように動かない…朝は苦手だ。
動かない体を無理矢理に動かし、ベッドから起き上がりカーテンをバッと開いて朝日の眩しさに目を細める。
また『今日』が始まる。
・・・・
着替えを終え、下の階に降りていき、リビングに入る。
そこには俺の爺ちゃんがお茶をすすりながらテレビを観て「ふむふむ」と頷いている。
「爺ちゃんおはよ。」
「おぉ、恵、おはようさん。」
俺を見てしわくちゃの顔を更にくしゃっとさせて笑い、俺にもお茶を煎れてくれる。
俺はそのお茶をすすりながらカレンダーをみる。
7月19日…
今日は高校から早く帰れる…。
「爺ちゃん、今日学校から早く帰れるから飯の用意は俺がするよ。」
それを聞いた爺ちゃんは、「ほぅ…」と呟き、俺を見る。
「だったら少しは『召喚師』としての修行をしたらどうじゃ?」
「…はぁ…またそれかよ…俺は召喚師にはならないよ。」
『召喚師』とは、術により呼び出した『精霊』や『使い魔』で、『鬼』を倒す者のことである。
その『使い魔』や『精霊』にはランクがあり、『使い魔』のランクは下から『下魔』『不魔』『高魔』『幻魔』『神魔』
『精霊』のランクは下から『亜霊』『狼霊』『高霊』『創霊』『真霊』
この中の『神魔』と『真霊』は『使い魔』や『精霊』の力を凌駕する程の力を持ち、『人間』と同じ姿をしていて、ちゃんと意志も持っている。
そのため、『神魔』『真霊』が『契約者』を殺し、悪巧みを行うこともあるが、それは大体が『神魔』であることが多い。
それと『使い魔』と『精霊』以外にも召喚できるものがある。
例えば『剣』『盾』『杖』その他諸々…。
俺は小さい頃に『剣』と『盾』の召喚式は教えてもらった。
更に爺ちゃんが言うには俺には『神魔』や『真霊』を呼び出せるほどの魔力があるらしい。
だからしつこく俺に「修行しろ」と言ってくるのだ。
少なくとも、俺は『召喚師』になるつもりはない。
今の日常を壊すのは気が引けるし…俺には荷が重すぎる。
だから…
「ヤだよ、面倒だからな、じゃ行ってくる!!」
そう言って俺は自分の通学カバンを持って爺ちゃんの「こら!」という言葉を無視して外に飛び出していった。