□第一章 日常の崩壊
2ページ/5ページ
俺は近くの公園まで走り、ブランコに腰をかけながら携帯を取り出す。
親友に電話をするためだ。
―トゥルルルル…
暫くそんな音が耳の中に木霊していた。
《もし、恵?》
五十嵐基之(いがらしもとゆき)の声が携帯から俺の耳に届いた。
「よぉ♪今どこ?」
《今?アニ●イト♪》
「………」
ちなみに五十嵐は俗に言う『ヲタク』というやつだ。
「…あ〜…ゲーセン行こうぜ?」
《う〜ん…じゃあ先に行ってて、俺は加納美佐菜の新しいシングル買ったら行くから♪》
加納美佐菜…今ヲタクを騒がしている声優…
らしい…
俺と五十嵐は小さな頃…それこそ幼稚園の頃からの幼なじみにして大親友。
学校に行くのが面倒な日とかは二人でゲーセンに行ったり買い物したりして時を過ごす。
だが…俺達には天敵がいる…。
「あ!ここにいたんですね!!」
「!?」
声に驚き後ろを振り返る。
そこには黒いセミロングの髪の毛をしていて、大人しそうな顔立ちをしている女の子。
「やっと見つけましたよぉ…学校行きましょう?」
「げ…姫…」
この女の子の名前は『朝木 姫乃』五十嵐と同じ俺の幼なじみ。
俺は姫乃のことを姫と呼んでいる。
「姫…俺これから用事が…」
「ダメです!恵君のことですから基之君とゲームセンターに行くつもりなんですよね!?!?」
…見抜かれてる。
今度から行動範囲を広げようと心より誓う俺…。
「行きますよ?」
手を差し出す姫乃。
「悪ぃ!!!またな!!!!」
俺はその手を取らずにゲーセンに向かって走り出した。
後ろから姫乃の声が聞こえたがかまわずに俺は走り続けた。
†・†・†
ゲーセンで適当に遊んでいると、10分ぐらい遅れて基之がやってきた。
「よ♪」
「おぉ、早かったな?」
「速攻買ってきたからねぇ〜、ホラ♪」
と買ってきたCDを俺に見せる。
「わ、わかったから早くしまえ(苦笑」
さすがに周りの目を気にして言った。
「で?今日はどうすんの?ゲーセンもぉ飽きたよ。」
確かに…ここんとこゲーセンに通いつめてるからな…
「そういやさ、さっき姫に見つかったよ。」
「マジか?」
「うん、逃げた(笑」
「ははっ(笑」
「だからさ、行動範囲広げるためにとなり町まで行ってみようぜ?」
俺が提案したら、基之は「おう」と快く承諾。
「んじゃ行くか♪」