□第一章 日常の崩壊
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俺は近くの公園まで走り、ブランコに腰をかけながら携帯を取り出す。
親友に電話をするためだ。

―トゥルルルル…


暫くそんな音が耳の中に木霊していた。

《もし、恵?》

五十嵐基之(いがらしもとゆき)の声が携帯から俺の耳に届いた。

「よぉ♪今どこ?」

《今?アニ●イト♪》

「………」

ちなみに五十嵐は俗に言う『ヲタク』というやつだ。

「…あ〜…ゲーセン行こうぜ?」

《う〜ん…じゃあ先に行ってて、俺は加納美佐菜の新しいシングル買ったら行くから♪》

加納美佐菜…今ヲタクを騒がしている声優…

らしい…

俺と五十嵐は小さな頃…それこそ幼稚園の頃からの幼なじみにして大親友。

学校に行くのが面倒な日とかは二人でゲーセンに行ったり買い物したりして時を過ごす。

だが…俺達には天敵がいる…。

「あ!ここにいたんですね!!」

「!?」

声に驚き後ろを振り返る。
そこには黒いセミロングの髪の毛をしていて、大人しそうな顔立ちをしている女の子。

「やっと見つけましたよぉ…学校行きましょう?」

「げ…姫…」

この女の子の名前は『朝木 姫乃』五十嵐と同じ俺の幼なじみ。

俺は姫乃のことを姫と呼んでいる。

「姫…俺これから用事が…」

「ダメです!恵君のことですから基之君とゲームセンターに行くつもりなんですよね!?!?」

…見抜かれてる。

今度から行動範囲を広げようと心より誓う俺…。

「行きますよ?」

手を差し出す姫乃。

「悪ぃ!!!またな!!!!」

俺はその手を取らずにゲーセンに向かって走り出した。

後ろから姫乃の声が聞こえたがかまわずに俺は走り続けた。


†・†・†

ゲーセンで適当に遊んでいると、10分ぐらい遅れて基之がやってきた。

「よ♪」

「おぉ、早かったな?」

「速攻買ってきたからねぇ〜、ホラ♪」

と買ってきたCDを俺に見せる。

「わ、わかったから早くしまえ(苦笑」

さすがに周りの目を気にして言った。

「で?今日はどうすんの?ゲーセンもぉ飽きたよ。」

確かに…ここんとこゲーセンに通いつめてるからな…

「そういやさ、さっき姫に見つかったよ。」

「マジか?」

「うん、逃げた(笑」

「ははっ(笑」

「だからさ、行動範囲広げるためにとなり町まで行ってみようぜ?」

俺が提案したら、基之は「おう」と快く承諾。

「んじゃ行くか♪」
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