□休息の中の不穏
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「なんでもない」
少しぶっきらぼうに言って茶を啜った。
『そうですか?』
俺の言葉を気にする事もなくニコリと微笑み、ルナも茶を啜る。
「あ、そういや昨日の………え〜と…誰だったかな…?」
『神夜雅樹でしょ?』
メイが言う。
「そうそう!!…でなにもんなわけ?」
爺ちゃんは茶を湯飲みに注ぎ、口に含んで一息ついてから質問に答えた。
「神夜雅樹、ワシが入隊している団体…いや…あれは軍かの…まぁとにかく、団体と協定を結び共に戦う仲間じゃよ」
「…ふ〜ん」
また茶を啜った。
『…恵?』
ルナがふいに俺の顔をまた覗きこむ。
「な…なに?」
『これから…よろしくお願いしますね☆』
ニッコリ微笑む。
突然の挨拶。
心臓が撃ち抜かれた感覚に襲われた。
頭がクラクラする…
『…恵…顔赤いですけど…大丈夫ですか?』
ハッとして慌て、立ち上がった。
「俺着替えてくる」
速攻疾風のように二階に駆け上がった。
『は…速いです…』
三人は呆然として…爺ちゃんが茶をゆっくりと啜った。
†・†・†
(あ〜…なにドキドキしてんだよ…)
黒いTシャツに袖を通しながら思う。
(…可愛いよなぁ……)
ふと思ってしまい…ハッと頭をふる。
(あ〜っ!!!もぅヤダァーッ!!!!!!)
俺は髪の毛をグシャグシャとかきみだし、心の中で叫んだ。
†・†・†
「いよっ!!」
基之が家にやって来た。
手には魔杖頼子が握られている。
「基之、あまり召喚した物を持ち歩くな」
爺ちゃんがたしなめる。
「いや、頼子に色々教えてもらってたんだよ、メイの事も少し聞いた」
『・・よ〜り〜こ〜・・・』
恨めしそうにメイが頼子を見る。
『なんですか?メイ』
頼子は直接頭に響かせる声で訊いた。
『基之にはわ・た・しが教えるからアナタは補足程度に色々教えれば良いの!!この様子じゃ私が補足程度にしか教えられないじゃない!!!!!』
『…妬いてるのですか?』
『妬いてない!!!!!』
机をバンっと叩き否定する…
『まぁまぁ、落ち着いて』
ルナが苦笑しながらなだめる。
『頼子、メイは基之さんに…自分の主に色々な事を教えてあげたいの、メイの気持ちを尊重させてあげてくれないかな?』
ルナは頼子にゆっくりと言った。
頼子は躊躇いなく声を発する。
『勿論です、元よりそのつもりですから』