□十二創支と違法者の女
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『どうしてよ!!』

俺の怒鳴りに明らかに気分を害したようだ。
少し声が荒い。

「学校は部外者立ち入り禁止!!」

『私はアンタの精霊よ!』

「んなもん一般人が信じるか!!!」

『私も行く!!』

「駄目!!!」

『行く!!!!』

「駄目だっつってんだ!!!!!」

そんなくだらない口喧嘩をしていると…不意にメイが窓の外をバッと見た。

表情は険しい。

突然の事に、俺も緋訝も呆然としたが…メイの表情は変わらない。

『基之、行くわよ』

急にメイが俺の手を掴んで走り出した。

俺は訳がわからずにただ引っ張られていった。

一人残された緋訝は、ただ呆然として二人を見送った。

†・†・†

「どうしたんだよ!?」

引っ張られているから止まる事も出来ずに走り続けながら訊く。
既に外は暗く、外灯が点灯している。

『敵よ…それも凄く厄介な…強い敵かも…』

「なっ!?」

背筋が凍るかと思う程に俺は驚き、一瞬で恐怖が沸き起こった。

「逃げ…」
『ないわよっ!!!』

方向転換した首根っこをメイはひっ掴み、俺を引き摺るように走る。

「だって俺まだなにも出来ない…」

『魔力の波長は読めてる、魔力供給も少しは出来た!!十二分よ!』

メイは一直線に走り、スピードを落とさない。
この先には…確か中学校があったはず。

『…!?』

メイが急に方向を変えた。
ガキンとなにかが地面に突き刺さる…

「な…ナイフ!?!?」

『敵将の仕業ね…殺気がビリビリ伝わってきて肌が痛い位よ』

と次々降ってくるナイフを見事なフットワークでかわしていく。
それでいてスピードは落ちていない。

「中学校に入って校庭で迎い討とう!!」

『中学校!?どこ!?』

「そこ!!!!」

指差す先には既に校舎が見えていた。

「あそこの校庭なら隠れる場所ねぇから姿が見える!!!」

『了解!!!』

俺はもう自分の脚で走っていた。
頼子から家に帰る時こっそりと教えてもらった肉体強化魔力供給を己の体に付与している為、スピードはそれなりにある。

『右にナイフ!!』

「え…わっ!?」

俺がいた所にナイフが突き刺さる。

「怖っ!!!」

思わず立ち止まる。

『止まるな!!走りなさい!!全速力で走りなさい!!』

メイの一喝で我に返り、また走りだす。
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