SEED&DESTINY

□星の瞬き
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「やっと終わったな…」
「うん…」
長かった戦いはようやく終わりを告げた。アスランはジャスティスをフリーダムと並べ、モニターに映る宇宙を見た。先程までの大戦がまるで嘘のようにいつもと変わらず、遠くでは冷たく美しく星が瞬いている。少し視点を動かせば生々しい戦いの跡―戦艦やMSの残骸が漂っている。
「前も終わったって思ったけど…。今度こそ、こんなことは終わりにしたいね」
哀しげなキラの声がマイク越しに聞こえてくる。
「あの時の僕達は何か間違ってたのかな…。」
アスランはそれには答えずに言った。
「…エターナルに戻ろう」
漂う残骸の中から赤と白の2体のMSが飛び出した。そしてキラキラ輝く信号弾に向かって加速していった。
その途中、キラが急に声を上げた。
「あっ!」
「どうした?」
何事かと思って急制動をかけたアスランはフリーダムが抱えたものにため息を吐いた。
「…それをどうするんだ?」
それ―近くを漂っていた脱出用シャトルのガラスからは右往左往する人影が見える。モニターに映るキラはまるで捨てネコを抱えている子供のような顔だ。昔から捨てネコや捨てイヌを見るたびに拾ってくる奴だったが…。シャトルもキラにとっては同じなのだろうか…。
「キラ…」
声を掛ければ絶対に離さないと言わんばかりに睨んでくる。アスランはもう1度ため息を吐いて国際救難回線でシャトルに呼び掛けた。
「今から貴艦をエターナルに保護する」
相手からは通信の調子が悪いのか、雑音ばかり聞こえていたが、やがて
「了…解」
の一言だけなんとか聞き取れた。次にエターナルの回線を開くと、救難チャンネルを聞いていたのか、ラクスはすぐに承知した。
「今プラント政府に呼び掛けているところですわ。ついでにそのことも申し上げておきましょう」
元より優しい彼女が断る訳はないのだが…議長側の信奉者が乗っていないとも限らない。少し警戒した方がいいか、と思い横を見れば、キラは嬉しそうにさっさと先へ進んでいる。一人気を揉んでいるのも何だか馬鹿らしくなってアスランはさっさとフリーダムを追い掛けた。
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