SEED&DESTINY

□日常の1コマ
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春うららかなとある午後。
アカデミーの一角‐射撃場にイザークの怒声が響き渡った。

「アスラン、勝負だっ!」

‐……またか‐
アスランは構えていた銃を下ろし、うんざりしながらその声の方を向いた。予想通り、イザークが怒り肩でやってくる。何故だかいつもより更に頭に血が昇っているようで、アスランは怪訝に思った。一方、やや遅れて来るディアッカはいつもと違い、酷く疲れた顔だ。
「……今日は一体何なんだ?」
嫌な予感がして、溜め息混じりに尋ねるアスランにイザークは眉を釣り上げ、いきなり胸倉を掴み上げた。
「貴様、銃で勝負しろっ!」
これにはアスランもむっとしてその手を払いのける。
「今日、初めて顔を合わすんだぞ!?いくら何でもこの態度はあんまりじゃないか?」


アスランは何かと突っかかって来るこの一つ年上の同期が、鬱陶しくて仕方なかった。
理由は分からなくは無い。自分だって結構負けず嫌いな所があるから、負けたら面白くないと思う。でも、だからといって、毎日毎日勝負を仕掛けるのは止めて欲しい。第一、イザークが勝っている科目もあるのだから、そんなに目の敵にしなくてもいいだろうに……。
恐らく、自分のこういう考え方もイザークを煽る原因なのだろうけど。



「まあまあ、落ち着いて」
ディアッカが割って入るも、イザークはそれを一喝する。
「うるさいっ!お前は黙ってろ。………アスラン、銃だ。銃で勝負しろ!」
妙に据わりきった目で迫られ、アスランは内心首を傾げた。
本当に一体何なんだ?
今日は妙に銃にこだわっている。理由を問い質したい所だが、そうも言ってられない。今日は夕方から久々の休暇であり、大切な予定が入っているのだ。この際、サッサと終わらせるのが1番だ。

「……いいだろう。銃だな。始めようか」

いつもならこんなにあっさり承諾しないアスランにディアッカは嫌な予感がした。だが、それには気付かず、イザークは鼻を鳴らした。
「ふん……。今日こそ負かしてやる」
息巻くイザークにアスランはチラリと妖しい笑みを浮かべた。その笑みを目にしたディアッカは勝負の行方を予想し、深々と溜め息を吐いたのだった。
 
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