SEED&DESTINY

□日常の1コマ
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その数分後。

「貴様、やる気があるのか!?的に一発しか当たってないぞ」
イザークの言う通り、アスランの的は真ん中を撃ち抜かれているものの、外には掠った形跡すら無い。怒髪天をつくイザークにアスランは淡々とした口調で言った。
「いや、全弾命中させたさ」
そして後ろで観戦していたディアッカを振り返った。
「見てただろう?ディアッカ」
急に話を振られたディアッカは呆然としたまま答えた。
「あ、ああ……。」
「なんだと!!ディアッカ……。貴様、どうなってるんだ?答えろ!」

答えろも何も……。
あんなの初めて見た。
アスランは一発目でど真ん中を撃ち抜いた。そこまでは別に問題ない。自分だってそれ位なら出来る。だが、問題なのはそこからだ。
信じられない事に、アスランが放った残りの銃弾は、全て吸い込まれるようにその穴を通り抜けていったのだ。
掠りもせずに、綺麗に……。
‐有り得ねぇ……‐
漫画やアニメの中の話だと思っていたのに。

「おいっ!ディアッカ」

何やらブツブツ言っているディアッカにイザークはとうとう痺れを切らした。ところが、不意に顔を上げたディアッカに、まるで慰めるように肩を叩かれ、訝しげな顔をする。
「………?ディアッカ?」
「うんうん、イザーク。もう銃で勝負するのは諦めろ」
「はっ!?何だと貴様!」
唐突なディアッカの言葉にイザークが噛み付く。首元を締め付けられ、ディアッカが呻いた。
「ぐ、……ぐ…るじ…ぃ」
そんな2人に後ろから声が掛けられた。
「もういいか?悪いがこれから用事があるんだ」
既に後片付けを終えたアスランの声に、イザークが振り返った。
「逃げるな!まだだ。もう1度勝負だ!」
いつもなら、イザークの気が済むまで続けられるのだが、今日ばかりはアスランは挑発に乗らなかった。
「動かせない用事なんだ。今日はここまでだ」
そう言って、さっさと射撃場を後にしてしまった。

「くそっ!アスランの奴め」

大荒れの予感が当たったディアッカは、額に手を当て、咳き込みながら溜め息を零した。
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