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□何なんだこの気まずさは!
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昨日の雨が嘘みたいに止んだ。晴天。
眩しいくらいの朝日も今日は一段と目に痛い。まさしく刺さるようなとはこのことか。
「おはよー」
教室に入ると彼からはおはようの一言どころか目線のひとつも寄越す事はないので、やはりあれは嘘だったのではないかと疑念を抱かざるを得ない。
首を傾げてみるが解らないものは解らないままだ、この動作も無駄である。
「お、はよう!」
「…おう」
勇気を出して再度挨拶をしてみたところ、やはり。不機嫌を隠そうともしない声色で同じ言葉を返される。
以前どこかで低血圧は朝に弱いと聞いた事があるのだが。もし彼が低血圧だと仮定するならば他の原因がない限りはそうなのか。
しかし血気盛んなあたりからしてどう見ても血圧は高い部類に思えるし。
どうやらこの次世代、マスメディアは当てにはならないようだ。(そう考えている時点で私はそれに翻弄されているのだけど。)
「移動教室、遅れるぞ」
「あ!うん」
珍しく真面目な事を言ったと思えば間髪置かずに机に突っ伏してしまう。
早い。そしてやはり教科書は用意せずとは、この不良息子が!
しかしそれがいつもの事だと思えると呆れもできないのだ。
何を今更、という気にもなる。
ただ、忠告をするだけしておいて自分はサボリを決め込むのはやはり気に喰わない。だけどそれにも呆れられないし。
良いなー。私も御一緒させてもらおうかなー。
邪な思考が見え隠れするのでチラリと彼を見やる。しかし依然として机に額を付けたままなので今回は諦めるしかないらしい。
無言、それが答えだ。
ただでさえ今日は機嫌がよろしくない。それに頼んだとしても軽く流されてしまうのは目に見えている。
自分の事は棚に上げておきながらよくもまぁ。
しっかりしているように見えても堂々としたサボリが許されるなんてつまりは腐っても不良は不良ということだ。なんて相変わらず。
「あ、セナくん!」
「や!や、あ…!」
「じゅう君またサボりだってー」
「あは、はは…」
視聴覚室までの移動途中、ばったり出くわしたセナくん。
明らかに動揺していたのは。何故…。
(080714)