sleep.04
□資質的狂愛
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以前として視線を向けたまま逸らす気配のない彼は一種の病気に罹患している患者なのだと思う。
まるで蛇に睨まれた蛙のように固まる私。彼の目は一体どのように捉えているのだろうか。
何にしてもそろそろ飽きが来て良いはずなのだけれども。生憎まだ兆しは見えないまま時間だけが流れている。
「三井は、ひょっとして私を視殺する気だったりするのかな」
「んな事しねぇよ」
即答された返事に安心するや否や、するならば視姦だろうと胸を張られる。
この野郎!と引っ叩いてやろうともしたが治らないのは目に見えているので反論すら億劫だ。
高校生男子の煩悩をなめるなよと目の前に中指を突き立てて来る彼は不良の面影というよりはただの馬鹿者。
頭が痛い。
「知ってる?世間ではそれを変態と呼ぶんだよ」
「違うな、愛故の暴走だ」
何てことを爽やかに言って退けるんだろう。
返答の代わりに崩壊してゆく彼に向かって出会った頃はこんな傾向は見当たらなかったのにと溜め息を零す。
嗚呼どうして私はこんな奴を。
しかしそれが元から彼の中に眠っていた資質であったという説もあるのだが、それだけは恐ろしいので考えない事とする。
「まともな人だと思ってたのにさ…」
「不良だった過去がある時点でまともじゃねぇだろ」
言われればそれもそうなのだが裏切られた考え否めないこの気持ちをどうしてくれよう。
睨むように見上げるとあんまり見つめるな馬鹿野郎と彼が赤く頬を染めるので、あぁもう全てがどうでも良い。
「もう良いわ、好きにして」
「じゃあ遠慮なく」
(080628)
完食されました。