sleep.05

□ルサンチマンを抱いて
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さらりとして黒い髪が肩から流れ落ちるのを隣で見ていた。
視線をやや上に持っていくと、それはそれできれいに整った顔。
格好良いというか、美人というか。つまり中性的な面持ち。

「いざという時はその手の店で働けそうだよねぇ」

黙っていればね、と皮肉も忘れてはいない。
しかしそれにさえ気付かない彼。見事なまでに鈍感。

「その手とは、どの手だ」

「風俗的な。ウッフンアッハン的な」

「…それは無理だな」

「どうして?」

俺にはあの雰囲気が肌に合わない。
真面目な顔をしてそう言って退ける。表情はやはり中性的。
既に経験済みかよ!というツッコミは敢えて口に出さないままにしておく。
何か、止まらなくなってしまうような気が、ねぇ…。

「しっかし本当に美人さんだよねぇ」

「男の俺に、その褒め言葉はあんまり嬉しくないぞ」

「当たり前でしょ妬いてるんだもん」

側に転がっていた手鏡の向こうに映る自分に溜め息を吐く。
何を言っても落ち込む一方である私に、どうしたものかと首を傾げる彼は男なのにその仕草すらきれいなのだから負けた気が…いや少しだけども…。

「大丈夫だ、お前は美しい」

「ありがとう!とても嬉しくない!」

「少し…ひねくれてはいるようだが」

しかし、美しい。
でも、だからってそんなにきれいな顔で言われても。桂さん。
真剣な目でじっと見られても。桂、さん……、

「少なくとも俺の目には美しい」

「……っ、ヅラァ!」

「台無しだな」


(081105)
そこでその呼び方!?


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