sleep.06

□コクローチを潰した日
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「だっはぁぁー!」

「何だその奇声は…」

到底女の口から出たとは思えない声はまさしく奇声と呼ぶにふさわしい。
姿を確認した途端に全身でボディーブローをかまして来るともなれば本当に女であることさえ忘れてしまいそうだ。

「何があった、言ってみろ」

「ゴキ…!ゴキキ…ゴッキゴッキ!」

「まったく解らん」

大体この冗談の彼女から何かを聞き出そうとすること自体が間違っていたようだ。
腰に回された手が一段と強度を増したようなので話すどころか表情を覗き見ることすらままならない。

「取り敢えず、百聞は一見に知らず…です!」

「如かず、な」

背を押されるがままに今さっき彼女が転がり出て来たばかりの部屋へ入れられる。
振り向けばガッツポーズの彼女。頑張れということか。
しかし無償とはこの場合に置いて割に合わない。


「殺したらキスってことで良いかな?」

「は…、い?」

「一分間」

「うげっ」

バシン!

彼女の返事と共に降り下ろしたスリッパの裏には黒いアレがぐしゃり。
持ったまま部屋をうろつかないで下さい早く捨てて、近寄らないでうわぁぁぁ!とマシンガンのような言葉を浴びせられる。
私までもが害虫扱いか。眉間に皺寄せ。


「じゃあ捨てて来たら一分間」

「ちょ…別に承諾したわけじゃ…!」

「私が、肯定と見なしたのだから仕方ないだろう。諦めなさい」

「ひぃぃ!」


(081118)
まさかの俺様?ゴ●ブリより怖いってそんな。


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