sleep.06

□ロックンローラヴァー
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世界は腐っているようにしか見えなければ命を賭けて護っている事が馬鹿らしくて仕方がない。
何故生きているのかという問いは自身に向けて幾度となく繰り返してきた。その度に脳裏にちら付く泣き顔に動揺が隠せない。
些細な事から始まる喧嘩とはよく言うが、さすがに焦りも見えてくるわけで。らしくもなく笑える。何せ二ヶ月。

「どうして俺達は戦っているんだろうな…」

いくら自身に問いても答えが返っては来ないので、少なくとも今は自分と同じ境遇にいる同じ人間に問い掛けてみた。

「…解らない」

「だよなー」

一方的であるが期待が裏切られた気がした。
何の為に生きて、何の為に戦って、何の為に偽って、何の為に撃って。
狂いたくなる程に不条理にも思えたが残念な事に自分という人間は、つまり確定された存在は冷静なあまり狂えもしないのだ。自暴自棄。

「幸せになりたかっただけなんだよなぁ」

隣でコーヒーを啜る少年からはもう反応がない。
自身と関係のない内容にこれは独り言だと判断したのだろう。それだって別にどうでも良い事だ。

「そうだな…悔やむならば」

行動を起こさなかった事に対してではないのか。
さも当たり前だと言わんばかりに、それもそうだ。

「悪いんだけどな…ちょっと、」

「早く行ってやれ」

取り返しが付かなくなる前に。
無表情でさらりと流されてはどうやら先を読まれていたようで苦笑が漏れる。
そんなに解り易かったのだろうか。確かに意識せずに主張をするなんて器用な真似は出来ないし。


「行ってくる」

しかし何はともあれ今はただ全速力で車を飛ばし、また一回りも細くなった彼女を抱き締めに行くだけだ。
全てはその後でも間に合う、そうだろう?
(それすらも自問自答だとは笑える話じゃないか。)




(081127)
さっきはごめん、愛してるんだ。本当さ。

※1期設定。


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