sleep.07

□アットホームこそ桃源郷
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ばたん!という衝撃音が大気を激しく揺らしたかと思えば、憤慨した様子の彼女。
勢いよく開け放たれたドアからはノブがきれいに外れてしまっている。

「あーあ…派手にやってくれやがってコンチクショー」

修理するのも代金を払うのもどうせ彼女ではなく俺なのだ。おかげで財布はいつも軽い。
床に転がる銀色を溜め息混じりに拾いに腰を浮かせば隙ありとばかりに小さな身体が体当たって来る。
ここまで不安定になってしまうのは前例がないので、どうやら余程のことがあったと見た。
恐らくも何も元凶は、まぁ言うまでもないのだが。

「なに今回は団長にそこまで酷いことされたわけ?」

「阿伏兎どうしよう、阿伏兎ぉーっ」

「(…、…あー…)」

擦り寄せるように腰元で振られる頭に年甲斐もなくクラッときたが、黙っていた方が俺の人命的には最善かもしれない。と思った俺は利口者だ。
最悪、団長が知れば俺は宇宙の屑になる他に道はないだろう。アイウィルビースターダストなんて冗談じゃねぇよ。
あぁそうだ、そうだよ相手は年頃の娘だし。こんなオッサンを相手にしてちゃあ……いや、でも愛に年の差なんてなぁ…っと、いかんいかん。

「私…もうお嫁にいけないかもしれない…」

「え、何?まさかお前!」

「阿伏兎の」

「……、ん?」


(090518)
こんなにも唐突で素晴らしい話があったものだろうか。

過去拍手より。


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