sleep.02
□惑わされるな
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あーした天気になぁれ!
見て見てかけいー!と騒がしく呼び立てられたので渋々と視線を向けた先には靴を片方失った彼女が。焼けたように赤い空に舞っているシルエットは恐らくその片方だろうが、何故。
「裸足でなんか歩くなよ、汚ぇから」
「靴下だから良いの!」
そのままの格好で走り回る彼女に呆れつつ。(家に入る前に拭いておけよと忠告は忘れずに。)取りに走った先の靴はいつの間にか地に落ちて綺麗に上を向いていた。どうやら明日は晴れるらしい。
そもそも裸足じゃなくて靴下だから良いのだというその基準は何だ。
問えば、にこり、笑ってはぐらかされた。そんな高度な技術なんか覚えやがって生意気な!
「ねーかけいー、靴片っぽ返してよー」
「嫌だ、何かムカついたし」
「うわー餓鬼」
「何とでも言え」
「…本当に?」
じゃあ足が汚れるから負ぶってくれ、とは発言の矛盾もよい所だ。しかし言っても聞かない事は承知であるので此処は黙って背を貸してやるのが得策である。扱い方は誰よりも理解しているつもりだ。そうで在りたいとも思う。
「胸が当たるからって変な気を起こさないでよーかけい」
「…っ、誰が!」
「あれー前屈みになってますけど大丈夫ですかー」
「…、!」
(080104)
拾った靴が手から落ちた。(だけど今は拾えない。)
純情すぎる筧くん。
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