いつもなら見向きもしないファンレターの山に思わず腕を突っ込んだ。ミラクルさんが驚いた顔で振り向いたのは机から崩れ落ちる山を見てなのか、唐突でかつ衝動が過ぎるこの行動に対してなのか。とにかく手中に掴んだ一通の手紙に胸が騒いだ事は確かだ。
内容など、この際それはどうでも良い。
高さの無くなった山から手を引く。同時に手紙が数枚ほど床に落ちたが、いくら落ちた所で床が手紙で散乱している事に変わりはないので気には留めない。
「やっぱり…!」
掴み取ったそれに目を向ければ見慣れた文字で自分の名前が書いてあった。(敬称が省かれていたのも実にそれらしい。)
「桜庭くん、後で掃除…」
後ろでミラクルさんが何やら小言を言っているようだったが今はこの封を開ける事が何よりも先決なのだと勢い良く封を切った。
僕と君はきっと、たぶん!
(071211)
(英語のノート、早く返して下さい。)
内容はどうでも良い、なんてまさか。
期待するなと言う方が無理な話だ。