060/躾
 本庄鷹(080806)
「お手」
「…」
「鷹、お手は!」
「…やらない(いい加減にしてくれ)」

鷹くんが好きです。
アイラブ無気力。





059/ファックゴッド
 高杉晋助(080806)
参ったと手を挙げてみせたところで容赦なんてあったもんじゃない。
「いってぇー!」
「痛むならそれは神経が通っている証拠だよー」
良かったねー生きてるじゃん。にっこりとした笑顔は此処ではまるで場違いだ。
馬鹿かお前は、馬鹿かお前は!(敢えての二度言い。)
「これで私が死ななかったらみんな無事生還、みたいな」
「ばーかテメェみてーな女、くたばっちまえよ」
しかしとめどないのは溢れる気持ちばかりではなく、押さえた彼女の腹部から滲む赤もまた。
(ちくしょう神め!)





058/セイグッバイ
 金剛阿含(080806)
「フられる方が後腐れなさそうだよねー」
「いや俺は断然フる側だけど後腐れとかねぇし」
「そーですか」
「そーなんだよ」
「…」
「な、何だよ」
「だからほら、早く言ってよ」
挙式まであと5分。
(あんたは私の弟になる。)





057/お疲れ様
 坂田銀時(080806)
「つまりさぁ甘えたいだけなんだよねぇ」
「…そういうもの?」
「そういうもの」
根拠もなく言い切った彼は膝に頭を任せてにやにやと笑う。気持ち悪い!
これは無防備だった私が悪いのか。だけどせめて一言くらい断ってみては。
しかし聞こえるのは早々に始まった寝息。
どうせこの愚痴もすぐに忘れる。





056/囁かに食い違い
 高見伊知郎(080806)
頭が良いねと言えば否定が返った。
遠慮とは、なかなか。
「じゃあ馬鹿なの?」
「適度にね」
「そっか、高見は馬鹿なのかぁー」
「本来人はそうであるべきさ」
「いひゃい!」
爽やかな(腹黒い)笑顔で摘ままれた頬が痛む。
ひりひり。





055/さらさら
 キュウゾウ(080614)
遠くの川の流れに耳を澄ませた。
さらさらと静かに流れるそれは心音と似ている。
「いつまでそこにいるつもりなのかなぁ」
「…」
「声くらい掛けてよ」
「…」
「ねぇ、っ」
瞬間。無口な彼のせせらぎを後頭部で聞いた。
強まる腕の力。





054/馬鹿はどちらの方だ
 伊達政宗(080614)
死んでしまえば楽なのだろうか。
呟いた途端に後頭部に痛みが襲う。
ゴツン、と拳が。
「俺はそういうjokeが大っ嫌いだ!」
「わ、私だって…!」
あんたの寝言を真似ただけなのに、と言えば、またお得意の勘違いですかと微笑の片倉さん。
少し赤くなった独眼に反論はないようだ。





053/高嶺の花
 組頭(080529)
君には蒲公英が似合う。打たれ強くて控えめだし。そうだ、君はこの雑草に良く似ているね。
片手に持つ黄色を見せ付けるように言う。任務帰り。返り血がべっとりと付着したままの姿で。
でしたら組頭は高嶺の花です。
それを聞いた途端に笑うのだ。にやり。まるで子供のように。





052/マイワイフ
 ポートガス・D・エース(080529)
「弟はルフィ」
「そうだな」
「父親はドラゴン?」
「ばーか、俺の親父はしろひげだけだ」
「ふーん」
「な、何だよ」
「じゃあ奥さんは」
「…」
「ん?」
「…プロポーズはまた改めて、な」





051/甘ったるい
 (御剣怜侍)
「そういったものは好きではない」
「誰もあげるなんて言ってない」
鞄から取り出した市販のそれの所為で検事室は甘ったるい匂いで満たされている。
胸焼けを起こしそうだとふらりと席を立つ。
がらり。窓まで開け放つ始末だ。
「……ならば、誰に?」
思い出したように言うが見間違いか耳は赤い。
笑った彼女はその本心を知っているのだ。
だからこそ。





050/飼育
 阿部隆也(080529)
「ペット飼いたいね」
「犬?猫?」
「うーん、そういうのじゃなくて」
「じゃあ何ハムスター?あ、亀か、そうだろ」
「………阿部」
「は?」
「だから阿部を飼いたいのですよ、私は」
「…は、ぁ?」
しかし飼われたいとも思ったなんて。





049/少しだけ淋しい
 ロロノア・ゾロ(080529)
強くなりたかった。
これといって目指すものがあったわけではない。
ただ、強く在りたかったのだと思う。男はいつだってそういう生き物なのだ。いつだって。
「弱くても良いのに」
今となってはそう言って笑った少女が誰だったのかさえ。思い出せない子供時代の話である。





045/推定40cm
 筧駿(080414)
「一生かけても届く気がしないのだけど」
「まぁな…」
思わず笑ってしまう程の身長差の欠点を突きに掛かったのは彼女の方からであった。
首が痛いのだ、と。しまいには互いの身体的問題を嘆く。
確かに小柄だ。しかし自身より大きさを持たれているよりかは幾分ましである。
「そのままで良いと思うぞ、俺は」
「…」
はっとした。心なしか涙目。赤い。
しかしそれほどまでの事だろうか。自問は続く。





044/美顔鬼
 綾部喜八郎(080414)
やんわりとしていた。
それでいて、少しばかり情緒に欠ける所がある。
「好き」
「そっかぁ」
返事を返さない事が今一番の残酷であると。彼も解っているのに。
どうして。





043/急降下
 善法寺伊作(080225)
どことなく落ち込んでいるようにも見えるので慰めでも掛けてやろう。
俯く頭へと伸ばした手に後を押されて言葉が零れた。彼女の口から。
「今日ね、タカ丸くんに伊作に似てるねって言われた」
「へぇ」
だから何だという話ではあるがオチは今の一瞬にして見えたも同然。
よって慰めなどしてやる気も既にない。
「私ってそんなに忍者に向いてないのかなぁー」
「…怒るよ」
「いっそ忍者なんか辞めようかしら」
「やってみろ。僕も人間を辞めてやる」





042/劣性遺伝子
 L(080225)
間違いがあるのならば訂正もやむを得ない。
しかし元から完璧しか持たない彼に今更何をしてやれようか。
何せ未完成であるのは誰がどう考えようと私の方である。
「もっと、気楽に」
「死にますよ」
つまりは生きる事への危険性の違いか。





041/その愛には規制をかけろ
 山田利吉(080225)
言葉にすればそれはとても恐ろしいもので、いつか君を喰い殺してしまうかもしれないよ、嘲り笑うのだってもしかしたら今の内だという恐れもある。
何にしたって貴方が守ってくれるのでしょうと期待をされたが残念ながら喰い殺すのは他でもない、私だ。
せめてせめて逃げるならばあと数秒だけでも待ってやろう。なけなしの慈悲を受け取るが良いさ。
「そしたらまた貴方は独りでしょう」
そうさせたのだって他でもなく君。





040/遺言
 シチロージ(080225)
「私はいずれ死ぬ」
当たり前である発言もこの時世にはまるで縁起のない言葉だ。
少しは慎んでみてはくれないかと願ったが恐らくこれは遺言であると察してそれも止めた。
「貴方を此処に残して逝く事が心残りだ」
「ならば、後を追うまでです」
「あぁ、だからこそ、それを止めろと言っておきたかったのだ」





039/無題
 山田利吉(080220)
「今日って何曜日だっけ」
「確か火曜日だったような」
「そうかそうか」
それじゃあアンタがあのゴミ袋に入って焼却して貰うには絶好のタイミングって訳だ。そうすれば私と仕事の間でさ迷って悩む事もないでしょう?だってもうこうして待っているのも疲れるのよ限界なの。
だからサヨナラさよなら私の愛した仕事の虫。
(仕事にとり憑かれて死ねば良いのに!)
「…たまには休みも取るようにするから」
「それだってもう聞き飽きたの」





038/必要性という言い訳をして
 水戸洋平(080220)
世界に要らないものが在るのだとしたら。
零れ落ちた呟きには何だか悲しさしか生まれなかった。
「必要なくなったら捨ててくれても良いから」
「まさか」
睨んでも笑うだけの仏面は苦手だ。
「だから、それまでは傍に置いてくれよ」
「えぇいつまでも」





037/鬼ごっこ
 円子令司(080220)
迫るなら引いて引くなら迫るだけだ。
理屈など考える意味も此処にはない。
「恋は駆け引き、をただいま実施中です」
「なるほど」
マルコもそう言ってたぞ。
つまりお互いに臆病であるだけ。





036/決別の言葉
 筧駿(080220)
「永遠なんて要らないから此処にいて」
「永遠?そんなもの最初から存在しない」
「だったら私もアメリカに連れて行って」
「その選択肢もまた存在しない」
「待って、待ってよそれじゃあ、」
「悪いが時間だ」
いつか迎えに来るからなんてドラマの中の話でしかないのに。





035/犯罪者予備軍
 大木雅乃助(080220)
畑を荒らしたのは私です。
理由なんてそんな、ただ貴方との繋がりが欲しかっただけです。
貴方は怒りながら私の名前を口にします。
私は謝りながら貴方の名前を口にします。
「そんなに野菜が欲しいのなら最初から言えば良いものを」
しかし私には何分その勇気が足りないのです。





034/プロポーズ
 土井半助(080220)
「おはよう」
「あ、おはようございます」
朝から彼の声を聞いた。
それだけで今日を生きる意義が生まれた。
恋愛感情とは至極簡単なものである。
「は組は全員出席ですか」
「いや残念ながら今日は…」
欠席は私の方だと笑ってはそのくせ名簿を持って来てしまったと頭を掻く。
「良かったら結婚して下さい」
「え、と」
「これを言う為の欠席です」





033/幻聴ならば救われていた
 十文字一輝(080220)
音を立てて身を引く。
ロッカーに打ち付けた後頭部の痛みに悶絶する間もなく優しさもなく慈悲もなく。
「好きだ…」
流れ込んでくる低声は耳から私を犯しながら侵入を始めた。
脳まで辿り着いたならば私はきっと彼に似た感情を抱いてしまう。
錯覚は厄介だ。
「ちゃんと聞け、好きだ」
錯覚、は。





032/サヨナラホームラン
 王城(080220)
「トップバッター、イチロー」
「イチローねぇ…」
「何だかんだで安打だよねあの人」
「何だかんだじゃなくても安打だと思うけど」
「じゃあウチのイチローは?」
「安打、だったと思いたいね」
楽しかったって言ってたし。それに僕等と出逢えて良かったとも。
「あ、私それ個人的に言われたもん」
「俺だって…!」

引退後。
愛され高見。





031/遺伝
 山田利吉(080220)
「そのつり目は父親譲りですか」
「そうだろうな」
「受け継いだのがケツ顎じゃなくて良かったですね」
「あぁ…それは私もよく思う」
「お母様は美人?」
「まぁ、普通に」
「私よりも?」
「………、いや」


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