062/いわゆるホイミ
 阿伏兎(090516)
痛いの痛いの飛んで行……くわけあるかぁ!
スッパリとなくなってしまった左腕になにやら無意味な呪文を唱える彼女は残念なことに、至って大真面目な表情だった。
「痛いの飛んで行った?」
「お前は頭のネジ飛んで行った?」
100%皮肉な、いわゆる厭味を吐いてやる。
やだなぁ〜頭にネジなんてあるわけないじゃん、どうかしちゃったの阿伏兎?
って、オイ。それこそコッチがやだなぁ〜だよ。
笑いを通り越して泣けるくらいにまるで会話が成り立たない。
「オジサンちょっと本気で泣いちゃいそうだ……」
「よしよし」





061/かまかける
 善法寺伊作(090516)
「隣いいかなぁ」
「え、はい!どうぞ!」
「ありがとう、いやぁ席が全然空いてなくてね」
「あぁ、あの…混んでますからね!」
「いつもはもっと早い時間に来てるんだけどさ、今日は委員会があったから……ちなみに僕、保健委員長なんだよ」
「へ、へぇ…(えぇ知っていますとも!)」
「…そういえばさぁ」
「はい?」
「君はいつもこの時間にいるよね」
「はい!……え?」
「あ、向こうに友達がいたみたいだ。じゃあまた」
「え、…ぇえ!?」


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