白く舞いながらふわりと落ちてゆく白を寝転びながら眺めていた。
静寂。音もない。
ただ、冷たい白の中に、ひっそりと私はいたのだ。存在しているのだ。
それはずっと前からだったかもしれないし、もしかすると昨日のことかもしれない。
しかしそんな曖昧な記憶も今となってはどうでも良いことである。
「まだ、生きてる?」
「あぁ…」
返事はまだあった。
つまり息もまだあった。幸いなことに、彼も私も。
繋ぎっぱなしの手に帯びていた熱はいつのまにか感覚と共に根こそぎ奪われていて。もう寒さも冷たさも解らないや、と投げ出した身体はやけに心臓部だけが暖かい。
脈打ちながら、確かに存在していたであろう親から受け継いだ赤い赤いそれは全身に流れ込む。
巡ってゆく遺伝子の塊。体内を流れる我が愛しき分身たち。髪の先までゆっくりと。はっきりと。
まるでトロットの歩調で駆けるように。
「ねぇ、まだ、生きてる?」
(090104)
返事がない。