書物・戦

□走馬灯
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『走馬灯』とはこれを指すのか…

鈍い痛みと落ち欠ける意識の中ぼんやりと思う。

笑顔が…いつも幸せそうなあの顔がまた自分に向けられる事を祈って…

ありもしない希望に縋っていた日々。

いつからだろう…

思い浮かべるのは伊達政宗と出会う前。
戦も無く幸せな日々。

旦那の一番はやはり大将。けど二番目には俺が居た。

けれど…二人は出会ってしまった。

出逢うべくして、最高の好敵手として、最愛の恋人として…

きっと旦那がその事に気付いたのは付き合い始めた頃…俺はもっと早くに気付いてたけど。

旦那は鈍いから、自分の気持ちも分かってない時がある。

そうして、いつの間にか旦那の一番は大将でも俺でも無く、伊達政宗になっていた。

しかしながら、甲斐も奥州も形だけは同盟国とはいえ、いずれぶつかる日が来るのはお互いが一番よくわかっている。

その時、旦那がどういう決断をするのか…。

俺様はついていく事も、見る事でさえも、もう叶わないけど…

どうか幸せになって欲しいと…願う…



『…佐助!!佐助っ!!!!』



都合の良い空耳、最期に、アンタが俺を呼ぶ声が聴こえるなんて

これ以上の幸せは無いと思いますよ、旦那








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