書物・戦

□遠く翔び逝く為の謳
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栗色の髪に目にも鮮やかな赤い鉢巻をした真田幸村、濃い茶色の髪に右目を覆う眼帯をした伊達政宗。

彼等は出逢い、戦い、惹かれ合い、そして一つの約束により結ばれた。

永遠を願う戯れの様な誓い。

叶う筈だと信じていた。

其の時が訪れるまで、この世に必然等無いというのに…。

疑う事も無く純粋に…

ただ純粋に願いを信じていた…。




『遠く翔び逝く為の謳』




眩しいばかりに晴れ渡った空の下、甲斐武田軍に一つの報が届いた。

しかしそれは幸村にしてみれば最悪な報以外の何者でも無く…。

幸村は、佐助の口から淡々と語られる報告を只茫然と聞いて居た。


『…奥州が豊臣軍の奇襲…壊滅…片倉小十郎の討死…伊達政宗は………』


報告が済み、幸村は自室の縁側で唯空を見上げる。

「…ぴぃ…ちち…ぴ」

其処に舞い降りてきた一羽の鳥。

幸村が手を差し延べると待っていたかのように当然と其の掌へ降り立った。

よく見れば右目を怪我している…といってももう塞がって傷痕として残っているだけだが、どうやらこの鳥も隻眼らしい。

そう思うと、藍染のような青い羽や少々つり目がちな悪人顔も、どことなく彼に似ているように思える。








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