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□KEEP
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いつも通りの朝。ただ今日は任務がない、心なしか平和な朝だったと思う。
何も、どこも、あれもこれも、いつも通り。


でも彼だけは、違うように見えた。















・KEEP・
















飽きた。

そう言って資料室から外に繋がるドアノブに手を掛けると、瑞城が溜め息を吐いた。元親はあまり興味なさそうに書類を順調に整えている。つまんない。何であんな面白くもない書類なんか、整理出来るの。ああ、元親は興味ないからか。瑞城は真面目だもん。

バタンと戸を閉めて広い廊下を颯爽と歩いた。気分転換したくてどこか、静かな中庭はなかったかな、なんて考えながら足を進めると、目の端にとある人物を見つけた。



「あれは確か…第一の新人くん」



名前、何だっけ。分かんない。興味ないから。あ、元親みたい、なんて。
確かあの気に食わない総隊長と副隊長の大のお気に入りで、凄く大事にされてるって話を聞いた事がある。ある意味凄いよね、あの新人くん。あんな人達に構われてもけろり、としてるなんて。僕だったら失神しちゃうな。(嫌いだから)



そう思うと、急にそわそわしてきた。何だろう、今更興味をそそる対象が現れた。ただ、それだけ。
自然と足はあの新人くんの元に向かう。



「ねぇ、君」

「…はい?」



あらら。声掛けちゃったよ。だって気になったんだもん。
どうやら第一も資料整理をしているらしく、新人くんの腕には大量の紙の束。て言うかその状態で目の前の資料室のドアを、どうやって開ける気な訳?
無表情でこちらをじーっと見るその緑色の眼は、僕の目にはない、何かが違う色をしていて何だか綺麗だ。





暫く見つめ合ってしまった。て言うか話し掛けられて相手が無言になったら普通、何ですか?て聞かない?なのにこの新人くんも無言。



変な奴だなぁ。



「ああ、ごめんね黙っちゃって。この資料室に入るの?」

「はい」

「開けてあげようか?」



にっこり、と人が良さそうに笑うと新人くんはお願いします、と言った。何だ、普通に喋れるじゃないか。やっぱり変。



気になるじゃない。



ガチャ、と開けて中へ促すと新人くんは頭をぺこりと下げて素直に入って行った。
そしてそのままドアを閉めた。
勿論僕も中に入って。



「?」

「ん?何?」

「上條隊長も何か用があるんですか?」



こちらを向いてそう聞いてくる新人くんに僕も書類整理中なんだぁ、と答えるとそうですか、と返されてまた沈黙。




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