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□HALLOWEEEEEEEN
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すると何かを思いついたように清寿がだけど、と苦笑を漏らした。
「貴方達って事は第一って事でしょ?僕らは構わないけど…羽沙希くん、嫌がりそう…」
「!?羽沙希のコスプレが拝めないのか!?」
魔女やらしてーのに!と嘆いている総隊長の肩を珍しく、蘭美が優しく叩いた。それに少し驚きながらも、笑太は顔を上げた。
「藍川…?」
「心配ないわ。彼が貴方達よりも一筋縄ではいかないなんて百も承知よ」
「何か作戦でも?」
「いえ、簡単よ」
そしてにっこりと綺麗に笑って、さらりと答えた。
「ひん剥いただけよ」
「ああああああぁぁぁああぁ藍川ぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!」
「だって、思いの外抵抗するから」
「だからって思春期の少年にって言うかもう剥いた訳!?僕らもまだした事ないのに!」
「したいの?」
「したいわ先にだって進みたいわ!!!」
顔を青くしてガタガタ震える笑太に少し引きながら、蘭美は優越感に浸った。
そう、二人共まだなの、とほくそ笑む。確かに楽しかった。慈乃と綾寧三人で、嫌がる羽沙希を抑えつけて、一枚一枚服を脱がす際に見せた、恥ずかしそうに赤くなった顔。キュンと三人の胸が高鳴ったのは、言うまでもない。
おっと、話がズレたわ。
「ガタガタ煩いわね、良いじゃない抑えつけて跨ったぐらい」
「跨ったのか!!!」
「あーもー話が進まないわ!慈乃、綾寧!」
蘭美が大きな声で名前を呼ぶと、ドアの向こう側から失礼します、と可愛らしい声が聞こえた。ガチャリ、と音を立てて入ってきたのは、先程名前が挙がった慈乃と綾寧。それと、誰かが一人いるようだ。
「準備は?」
「お菓子も衣装も用意出来たわ」
「綾寧の方は?」
「準備オッケイです!可愛く出来ました」
可愛く?と首を傾げる笑太と清寿に慈乃がすっと二つの袋を差し出した。素直に受け取ると、今回の衣装です、と告げられた。今回のって何だ。次回もあるのか。
中を覗くと、確かに衣装やらアイテムやらが詰め込まれていた。しかし、部長の許可もなしにこんな事をして良いのか、とちらりと脳裏を過ぎる。するとまるで読み取ったかのように慈乃がご安心を、とにこりと笑った。
「部長に快諾して頂きました。その代わり部長の部屋も訪問するように、との事です」
「マジかよ…」
少々耳を疑う話だが、嘘は吐いてなさそうだ。諦めてじゃあ着替えるか、となった時、ふと清寿が蘭美に声を掛けた。
「あの、羽沙希くんは…」
「あら、見えてなかった?後ろにいるわよ」
ほら、と指差す方を覗くと……
綾寧の後ろでこじんまりと、立っていたのは。