main
□COME CLOSER
4ページ/7ページ
「何がそんなに怖いんだ?」
銀色の糸を引いて離れた唇を目線で追う。
綺麗な形をしている唇からは、僕には辛い呪文がつらつらと流れる。
「俺はお前が好きだ。愛してるんだ」
認めたら、青が消える。
消える。怖い。
怖いんだ。僕は。
青が消されるのが。
“常識”を。赤で、“感情”で。
潰されたら僕は。
「………僕は、女じゃありません」
肩で息をしながら、言い切った。体の力が抜けて立つ事もままならないけど、御子柴隊長に腰を支えられて何とか立っている事にはなっている。
隊長は何も言わずに僕を見る。
それも堪らなく怖い。
「僕は男です。その台詞をそんな僕に言っても…」
「お前は俺が嫌いか?」
どうしてこの人は、辛い質問をするんだろう。
きっと分かってて聞いているんだ。
その証拠に、
笑ってる。
「俺はお前が、羽沙希が好きだ」
別に男が好きなんじゃないぞ、と貴方は笑う。
じゃあ、
「……何で、僕なんですか…」
青が破裂しかけている。