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□COME CLOSER
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ざわざわ。
膨れていく。
痛い。
「さあな…笑いもしない、泣きもしない。むかつくぐらい無表情。でも」
そこで一息吐くと、隊長は綺麗に笑った。
青が、割れた。
潰れた。赤で。
青は、何処へ。
「お前、たまに俺に微笑んでんだよ」
「それが凄い愛しいんだ」
青を手放すのが、酷く恐ろしかった。
逃がすと二度と戻れない気がしたから。
貴方に、
御子柴隊長に出会ってから。
そう畏怖していたのに。
僕は。
「…………もう一度だけ聞く」
貴方さえいれば、大丈夫ですか?
下を向いたままの僕の頭を優しく撫でて、隊長は僕を抱き締めた。心地良いと、素直に思った。
「キスして良い?」
空間が、気持ち良い。こんな感覚は初めてで溶けそうだ。
青が、消える。
代わりに赤が制圧する。
それでも良い。
「嫌です」
「えー…」
「……ここじゃ、嫌、です」
言い終わると御子柴隊長は目を見開いて、だけど直ぐにいつもの余裕のある笑顔に戻った。