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□HALLOWEEEEEEEN
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「10月31日と言えばハロウィンね」

「そうですね」

「ハロウィンと言えば、仮装…」

「?」

「藤堂、コスプレにロマンを感じない?」

微塵も感じませんにじり寄らないで下さい早く手にしている物を捨てて下さいやめて下さい















・HALLOWEEEEEEEN・
















急に冷え込みだし、平年よりも体調管理に気を使っている今日この頃。

事件は起きた。





「ハロウィン?」

「そう」

「藍川…そんなんしてる暇があるなら任務に行けよ」

「もうこなして無いのよ。それは第一も同じでしょ?」



第一部隊執務室で書類整理をしていた総隊長と副隊長に溜め息を吐きながら蘭美は肩を竦めた。男って、行事に疎いわね、と思いながら。

今回蘭美が企んでいるのは、特刑のアイドルと言っても過言ではない、あの新人兎を可愛がる事。しかしただ愛でるだけじゃあ物足りない。どうせなら、虐めたい。あの無表情が少し眉根を下げたりする所が見たいのだ。季節も季節、ハロウィンは蘭美の中の引き金を引くのに最高の標的だった。

しかし目の前の二人はそんなに乗り気じゃあない様子。全く勘の鈍い男達、と今度は舌打った。だが蘭美には、強い味方があるのだ。


どかっとソファーに座って足を組んで、こほん、と咳払いをしてから話し始めた。



「こんな仕事場で楽しさもなく、死刑囚を処刑する。そして制服を着て一歩外へ出ればやれ殺人鬼だの、人形だのと罵られる。それはやっぱり刑務官にとって心苦しいもの。そうでしょう?」

「そりゃそうだが…」

「こんな職場で癒やしも励みも何もない。あるのは特刑としての地位だけ…」

「確かに、辛いよね…こういう仕事は…」



清寿が困ったような顔をしながら笑太を見た。つられるように蘭美も視線をちらりとくれると、笑太もそうだな、と溜め息を吐いた。

食らいつかせ易い。


にっと綺麗に口角を上げて話を畳みかける。



「だからせめてこういう行事に特刑最高部隊である貴方達が率先して隊員を励まさないでどうするのって言っているのよ」

「励ますって言っても…」

「隊員全員に頑張れって言えって事か?」

「ったく…ひねりもしないわね。貴方達が仮装してお菓子を配れって言ってるのよ」

「何だその立場ごちゃ混ぜは。一人ハロウィンか」

「あはっでも楽しそう!」



やっと趣旨が掴めた二人は楽しそうに笑い合っている。説明には中々苦戦したが、作戦成功。





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