只今

□NEVER GIVE UP
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サードセクターコーポレーション。
人気俳優も驚く程の人気を誇る、あの御子柴社長が引退した後も注目されている会社だ。
その的は勿論、引退の引き金となった結婚相手の、新人社員にあった。















・NEVER GIVE UP・
















あの前社長の跡を継いだのが、御子柴社長よりも若い、若干二十歳の上條璃宮。だが中々の手腕で、しかしまだ若い事もあってか些か猪突猛進型。そんな上條社長をサポートしているのが秘書の黒瀬瑞城と、香我美元親両名だ。この二人のお陰もあり、御子柴前社長が培ってきた会社の看板を降下させる事無く、経営している。

そんな二人を癒やし、現社長を夢中にさせている人物がいる。










「藤堂〜」

「柏原班長」



お早う御座います、と頭を下げる羽沙希に柏原もはいおはよー、と軽く挨拶を交わした。

あの御子柴前社長と結婚してからと言うもの、羽沙希の表情が少し、明るくなった気がする。入社したての頃は緊張からかそれとも生来のものなのか、私語もなく、その顔は作り物のように固まっていた。正に、人形のようだった。だから柏原もあまり羽沙希が好きじゃなかった。寧ろ苦手部類。しかし御子柴前社長に見初められ、追い回される事一ヶ月。最初は心労、疲労困憊な表情。(それでも仕事は的確にこなしていた)
それから約二ヶ月。何とか付き合う事になり、逢瀬を重ねている内に羽沙希が極稀に、仕事場で小さくだが笑うようになったのだ。それを初めて見た時、柏原はまだ二人が恋仲だとは気付いてなかった。それから程なくして知った時は少々、いやかなりショックを受けたものだ。更に結婚するとの話で二重にダメージ。
しかし好きな相手が今、幸せそうにしている。それにこうして毎日会えて新しい一面も見れる。それだけで、十分かな、と思う。



「昨日は休んだりしてどうしたんだ?」



珍しく風邪か?と額に手を当てて自分の体温と比べてみる。入社してから無遅刻無欠勤だった羽沙希。んーと唸るが、熱はない。が、段々熱くなってきた。
見ると羽沙希の頬が赤らんでいる。



「いえ、風邪、ではないです………」

「でも顔赤いじゃん!絶対熱まだあるんだよ!」



今日も休めば良かったのに!と心配する柏原に申し訳なさそうに羽沙希は違うんです、と繰り返すばかり。



(言えません…笑太さんと…………して、腰が痛くて動けなかった上に昼間っからまたしてましたなんて………!)



ハッスル笑太さんは昼夜を問いません。




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