夢2
□僕がいるから
1ページ/1ページ
「沙耶……?」
先程から沙耶の姿が見当たらず、あちらこちらと探しまわっていると外に小さな影を見付けた。
それは沙耶で、その後ろ姿は今にも消えそうな程儚くて、悲しそうだった。
「沙耶……」
二回目。名前を呼ぶと沙耶は、ハッと我に返ったように僕の方を向く。
「は、八戒……」
沙耶の声は何故か怯えていて、僕を不安にさせた。
また一人で何かを溜め込んでいるのか?それを伝える前に僕は沙耶を抱き締めていた。
「は、はっか「沙耶」
低く出した声のせいで沙耶は肩を振るわせ、黙り込んだ。
「僕が、僕が付いてますから。だから安心して下さい」
嗚咽混じりに聞こえた沙耶の返事は聞こえ難かったが、十分伝わった。
―――――――――――
振るえる肩を抱いて。