夢2
□絶望だなんて言わないで
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「世の中に絶望した!」
「…………またですか?」
どこから取り出したか分からない縄を手に持ち、これで首を絞めて下さい!と言われた。
「嫌ですよ。てか、そんな事したら私、犯罪者になるじゃないですか」
「なら一緒に心中しましょう」
「もっと嫌です」
馬鹿な事を言う先生に近付き縄を奪い床に捨て落とす。
「あぁ!沙耶さん、何をするんですか」
「先生」
この人は、
「なんですか!あぁ、絶望した!絶望した!」
この人は全く……!
「――先生!」
ギリリと言う歯ぎしりの後に出たのは私の大きな怒り声。
「……沙耶さん……………?」
何でこの人は、私の気も知らずに死にたいだのなんだのと言うのだろう。好きなのに、好きなのに。
「沙耶さん……」
鼻の奥がツンっとしたと思えば目の前が滲んできた。あぁ、泣いてるんだ。情けない。
「ごめ、んなさ……」
顔を上げようとした瞬間、腕を引っ張られバランスを崩し、気が付けば先生の腕の中にいた。
「沙耶さん、すみません……」
まるで子供を宥めるように背中をポンポンと叩く先生。それは嬉しいけれど悲しかった。
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いつか貴方が絶望しない日が来ますように、と願います。