夢3
□流れた涙を拭き取って
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12月25日。世の中はクリスマスだ、なんだと言って緑やら赤やら鮮やかな色で煌めいている。
普通クリスマスといったら恋人がいる人は恋人と過ごすのが一般的だろう。
しかし、私の彼氏は宇宙を飛び回って仕事をしている為、滅多に帰ってこない。
多分この調子だと今年のクリスマスは一人で過ごすことになるだろう。
「はぁ、」
自然に出た溜め息と共に、涙が頬を伝う。泣いてはいけない。そんな事は分かっているが、一度溢れた涙は止まってくれない。
「た、つまぁ……っ」
嗚咽混じりに愛しい人の名を呼ぶがその声は虚しくも空へと溶けていく。
鼻をすする音と、しゃっくりだけが耳に聞こえてくる。しかしその瞬間、
「沙耶ー!ただいまぜよー」
バァン!と開けられたドアに驚き、肩を振るわせ、そっちの方を見ると、そこには待ち望んでいた愛しい人。
「おぁ?!ど、どうしたが?」
辰馬はあわあわとし、私の方にかけより頭を撫でてくれる。
「辰馬……。おかえりなさい」
待っていた人が来てくれたんだ。心配かけられないし、いつまでも泣いていてはいけないと涙を服で拭い、微笑む。すると辰馬もそれにつられたのか私を見て微笑んでくれた。
「あぁ、ただいまじゃき」
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(辰馬……、これ、プレゼント?)(そうぜよ!サンタクロースのコスプレやき!)(宇宙に戻れ)