夢3
□大好きな人
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もうすぐ、もうすぐ沙耶が来る。キィッという控え目な音をたてて僕の部屋のドアが開く。
「はーっかぁい」
ほら、来た。
「どうも、沙耶。お久しぶりです」
「やだなぁ、毎日会ってるでしょ」
そうだけど、僕にとって沙耶と離れている間の時間はとても長く感じるのですよ。
「あ、そういえばね、さっき八戒とケーキ食べようと思って買ってきちゃった」
ほら、と自分の持っている小さな箱の入った袋を軽く持ち上げる。
「ありがとうございます。中で紅茶と一緒に頂きましょうか」
部屋に招き入れ、自分の向かい側の椅子に座る事を勧める。
「どうしたんですか?」
いつもならば直ぐに椅子に座るのだが、今日は何故か僕の隣に椅子を置いて、ぴったりとくっついている。
「えと、ね……何か今日は八戒にくっついていたい気分なの」
ダメかな?とほんのりと頬を染め、恥ずかしそうに聞いてくる沙耶がとても可愛く思え、気付いたら抱き締めていた。
「は、八戒?」
「なんですか?」
「え、いや、どっ、どうしたの?」
あわあわとして戸惑う沙耶をテーブルに押し倒し、にこりと微笑む。
「僕は沙耶に触れていたい気分なんです」
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今日は、何てものじゃなくていつも、そう思っているんだ。