夢3

□ココアと優しさ
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私、佐藤沙耶は失恋しました。
 
 
 
 
 
初めて人を好きになった。本当に愛しくて、彼しか見えなかった。けれど、告白する勇気がなく、告白するのを先延ばしにしていたら、今日彼に彼女が出来てしまった。
 
 
 
 
 
認めたくないと誰も居なくなった放課後の教室で声を殺して一人静かに涙を流しているとドアがガチャリと開かれた。
 
 
 
 
 
「あれ?佐藤さん?」
 
 
 
 
 
こんな時間にどうしたの?と問いかけられるが、言葉を発せば絶対に泣き崩れてしまう。
 
 
 
 
 
「「…………」」
 
 
 
 
 
長い沈黙の後、結城君は静かに教室を出ていったかと思えば、すぐに戻ってきた。
 
 
 
 
 
そして机に肘を付き窓から外を見ている私に近付いて机に何かを置いた。
 
 
 
 
 
「えーっと、良ければこれ飲んでよ」
 
 
 
 
 
フと結城君の方を見ると、そこには缶に入ったココアが置いてあって、結城君を見ると、暖まるし落ち着くと思うよ、と言われた。
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その場で再び泣き崩れた私の頭を優しく撫でてくれた。
 
 
 
 
 


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