夢3
□君に触れていたくて、
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青々と澄みきって広がった空。そんな良い天気の中、いつも通りの服装にいつも通りソファーに寝転がり本を読む。その時来客が来たと知らせるベルが鳴る。
はいはーいと呟きダルく、言うことの聞かない重い体をムクリと起こし玄関に行きドアを開けると、そこには小柄で可愛らしい少女がいた。
「あ、夢水さんっ」
「いらっしゃい。沙耶」
部屋まで招きソファーに座らせると花が咲いたような笑顔でにこりと沙耶は微笑んだ。
すると沙耶は自分の隣をぽんぽんと叩き、座ってと言うような仕草をし、僕が座ると僕の方に身を乗り出してきた。
「あのね、あのね。夢水さんにクッキー作ってきたんだよ」
ほら、と鞄から取り出されたのは可愛らしくラッピングされた小さな包み。それを開ければふわりと甘い香りが備考をくすぐる。
「僕の為に?」
「うん、夢水さんの為にー」
頬を軽く染め顔を反らし恥ずかしそうにうつ向く沙耶。