夢3
□小さい手と指輪
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「沙耶ー!」
近くから声が聞こえたと思い、ん?と振り返ると同時に腰本を抱き締められた。
「わ、わっと……どうしたのー?」
優しく頭を撫でると嬉しそうに微笑み、更に腕の力を込めてきた。
「あのな、沙耶にこれやるっ」
そう言って差し出されたのは根っこにまだ土が付いている小さな花。はい、と渡され、ありがとうと微笑むと、悟空は微かに頬を赤くし、微笑み返してくれた。
「あ、そういえば……これも沙耶にやる」
ゴソゴソとポケットをあさり、差し出された小さな悟空の手の平に乗せられていたのは小さな指輪。どうしたの、これ?と聞くと悟空ははにかんで呟いた。
「八戒から聞いたんだけどな、好きな人には指輪を渡すって」
だからそれは沙耶にやるんだ!と太陽のような眩しい笑顔で言われた。
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不覚にも赤くなる頬と高まる鼓動。