夢3
□緩む頬
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今私には好きな人がいます。その人は変な人達に囲まれているけど優しくてカッコいい人。その人は、
「あ、沙耶ちゃん。どうしたの?」
「ぴ、ピヨ彦君?!」
うわぁぁぁ!会っちゃったよ!会っちゃったよぉぉ!ガタガタと音を立てて後退ると酒留君はピヨ彦って……ジャガーさんに汚染されてきちゃってるね……と呟いた。
「あ、あぁ。ごめんね。えーっと、ね。そのジャガーさんにふえ科に誘われたから入ろうかなって……」
予想外だったのか酒留君は目を見開き呆然としていた。顔の目の前で手をヒラヒラと振ると我に戻ったように私を見てきた。
「――って、えぇぇぇ?!本当に良いの?!スッゴい意味分からない科だよ?」
うん。自分の入ってる科をそこまで否定する人はそうそういるもんじゃないよ。それに、
「なんていうか……、酒留君と同じ科に入りたい、から……」
途端に火が燃え移ったように暑くなって、それを冷まそうと左手で顔を扇ぐ。
すると今まで硬直していた酒留君がゆっくりと口を開いた。
「ぼ、僕も沙耶ちゃんと同じ科だったら嬉しいな」
その時の酒留君の表情はガチガチで、でもとてもかっこよく見えた。
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染まった頬は自然と緩む。