夢4

□繋いだ手
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「せーんせ、」
 
 
 
 
 
下校時刻はとっくに過ぎ、空も暗くなってきた頃、職員室を覗くと沙耶の目に映るのは、机に向かって今日の六時限目に行なったテストの採点をしている糸色望。
 
 
 
 
 
「おや?まだ残っていたのですか?」
 
 
 
 
 
「先生が待ってて下さいね。絶対ですよって言ったくせにー」
 
 
 
 
 
ぷぅと頬を膨らませる沙耶を前に望はすみませんすみませんと苦笑し、近くにあった鞄を手にし沙耶の手を引き歩き出した。
 
 
 
 
 
生徒は下校しきっていて空は暗く星が輝く。そんな中二人は他愛の無い話をしながら歩く。
 
 
 
 
 
「ね、せんせ」
 
 
 
 
 
へらりと微笑む沙耶は望の目の前に手を差し出し手、繋ごと照れたように呟く。
 
 
 
 
 
「えぇ、喜んで」
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繋いだ手は離れない。
 
 
 
 
 


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