夢4
□亡骸にキスして
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「せんせ、」
目の前にあるソレを手で触れる。手が震える。呼吸が、息が上手く出来ない。鼓動が耳障りで両手で耳を塞ぐ。
「や、だよ」
先生、先生先生先生。
ねぇ、いつもみたいに未遂なんでしょう?ねぇ、悪ふざけは止して絶望したとか言ってよ。右耳を塞いでいた手で先生の頬に触れると先生の肌が私の体温を奪う。
「せん、せ……すきだよ……」
触れていた頬にぽつりと落ちた一粒の涙。また一粒と次々と私の頬を伝い、先生の頬へと落ちる。
気付けば嫌だ嫌だとうわ言のように呟いている自分がいた。しかし嗚咽が込み上げてきて上手く言葉が言えない。前に倒れている愛しい人の唇を指でなぞる。指を唇から離し、代わりに自分の唇を重ねた。
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最後まで見送らなくてはならない。