夢4

□灰まみれ
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「結城君、結城君!」
 
 
 
 
 
全員の前を走っていた蛍の足の速度がゆっくりと減速していった。早く急ごうと言う蛍に沢木は酒蔵の息子としちゃあ見たくねぇだろ、と問い掛ける。
 
 
 
 
 
「覚えてる……?ウチの蔵がヒオチにやられた時の事……」
 
 
 
 
 
「あぁ……、あの時初めてヒオチを見たんだからな」
 
 
 
 
 
「――あの時?」
 
 
 
 
 
沙耶が呟くと蛍はごめんね、説明もしないでと苦笑し、ぽつぽつと過去の事を話し出した。それはとても話している方も聞いている方も辛い事で、沙耶の瞳には次第に涙が溜まってくる。
 
 
 
 
 
そんな沙耶の頭を蛍が撫でている前で長谷川が沢木を犬扱いしてヒオチのいる場所を探せと命令していた。
 
 
 
 
 
「ここっスね……」
 
 
 
 
 
「あ、開いてる……」
 
 
 
 
 
沙耶はごしごしと服の袖で涙を拭きつつもその部屋のドアをガラリと開ける。
 
 
 
 
 
途端、うわっという声と共に沢木が苦しそうにし始めた。それを見た沙耶はポケットからハンカチを取り出し沢木に渡した。
 
 
 
 
 

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