夢5

□幸せは隣にあるから
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「れんー、れんー」
 
 
 
 
 
ちいさい声が聞こえた。今は、数学の授業中で、聞こえるのは、先生の声。黒板を走るチョークの音。居眠りをしている生徒の寝息。たくさん聞こえる音の中で、紗夜の声が聞こえた。レンは、なに?と紗夜の方を向いた。
 
 
 
 
 
「あの、今日ね、よかったら一緒にクレープ食べに行きたいなー、って……」
 
 
 
 
 
きっと彼女の事だ。迷惑かな、だめかな、と考えているせいか、後半は聞き取るのが困難なほど、ちいさい声で、チョークの音に掻き消されてしまった。
 
 
 
 
 
「……うん、いいよ」
 
 
 
 
 
「よかった、ありがとう」
 
 
 
 
 
ほっ、としたように紗夜は、溜め息をした。そんな紗夜を見て、レンはちいさく微笑んで、思いついたかのように呟いた。
 
 
 
 
 
「あの、さ。紗夜の誘い……用があるとき以外は断らないから、……うん。大丈夫、だよ」
 
 
 
 
 
少しの沈黙。先程まで、説明していた先生は黒板にチョークを走らせる事に集中させ、他の生徒はそれを写す。いつまで経っても返事をしない紗夜が気になり、レンは紗夜を見た。
 
 
 
 
 
そこには、嬉しそうに微笑んで、レンを見て、うんうんと頷いている紗夜がいた。
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チョークの音と鼓動が響く、この時間。
 
 
 
 
 
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