夢6

□割れた皿
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パリーン、と物が壊れる小さな音がした。何事かと思い、夜巳は音のした方へ走って行った。音のした部屋の障子を開けると、そこには三つに割れた皿と、顔を真っ青にしている紗夜がいた。
 
 
 
 
 
「さ、紗夜……?」
 
 
 
 
 
夜巳が呼びかければ、紗夜は機械のような動きで首を動かし夜巳を見る。そして、小さな声でどうしようと呟いた。――数分前、紗夜は掃除をしていて、誤って皿にぶつかってしまい割ってしまったらしい。前にこの皿を使っていたのを見たという夜巳の記憶が正しければ、持ち主は太子だ。
 
 
 
 
 
それを聞いた紗夜は更に顔を青くさせ、皿を見つめた。夜巳は、そんな紗夜を見ていられなくて紗夜と一緒に頭を悩ませた。そんな二人に雷が落ちるような事が起きた。
 
 
 
 
 
「おーい。二人と、も……?」
 
 
 
 
 
太子が入ってきてしまった。そして、皿を見てしまった。紗夜は泣きながら謝った。夜巳も泣いている紗夜につられて泣いた。わんわんと泣いている二人を前に太子は優しく微笑んで二人の頭を撫でた。
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(た、たいし……ごめ、なさ……)
(大丈夫だよ。それより怪我はないか?)
((たいし……!))
(あ、てか、それは妹子のお皿だぞ)
((ひぃ、い、いい妹子さぁぁん!))
 
 
 
→後書き
 

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