□Morning
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「久保ちゃん」
 
 
リビングのドアを開けると煙草を吸いながら新聞を読んでいた久保ちゃんが私を見て微笑んで挨拶をしてくれた。
 
 
おはよう。と返事をしてキッチンに行き自分と久保ちゃんのマグカップを棚から取り出しインスタントコーヒーを入れポットからお湯を注いだ。
 
 
コポコポという音と共にインスタントコーヒー独特の香りが漂い鼻孔をくすぐった。
 
 
そしてフレンチトーストを作ろうとフライパンを取ろうと振り向くとそこには久保ちゃんがいて抱き締められた。
 
 
振りほどこうとしたけれどやっぱりそれは男女の差、男の久保ちゃんの力には敵わなくて、離れられなかった。
 
 
「久保ちゃん、私……フレンチトースト作りたいんだけど」
 
 
そう言っても離してくれなくて逆に腕の力が強くなるだけだった。
 
 
「ねー、離してー」
 
 
「んー」
 
 
「んー、じゃなくてー」
 
 
久保ちゃんの服から微かに香る煙草の匂いがなぜか私を落ち着かせた。
 
 
「久保ちゃん」
 
 
静かに名前を呼ぶと久保ちゃんは私を見て微笑んでくれた。
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早くなった心音が聞こえない事を願う。
 
 
 
 
 


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