□雨の降る日に
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ザアザアと雨が降る中で見付けたのは小さな段ボール箱と、
 
 
 
 
 
その中にまるで捨て猫のように入っていた少女。
 
 
 
 
 
降り続く雨は容赦無く少女の髪、服、顔を濡らしていく。
 
 
 
 
 
少女を見ているとブーッブーッと電話が鳴った。
 
 
 
 
 
それを取り通話ボタンを押すと携帯を10cmくらい離しても聞こえる程の大きな声が聞こえてきた。
 
 
 
 
 
「あー、うん。分かった分かった。分かったから。コンビニでお土産買ってきてあげるから。じゃあね」
 
 
 
 
 
――ちょっ、待てよ、久保ちゃー……と聞こえてくる携帯電話の終了ボタンを押し再び少女に目を戻すと寒そうに震えていた。
 
 
 
 
 
ガリガリと頭を掻き煙草を地面に落とし踏み潰すと傘を下に落とし、代わりに少女を抱き上げた。
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雨の降る日に拾ったのは猫。
 
 
 
 
 


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