小説

□ゆがみ、
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 そうして今日も土方は、得られぬ心に焦がれながら、他の女を抱く。
 そばにあるのは、沖田より柔らかく抱きやすいカラダ。
 生物としてはこれが正しいはずなのに、土方の身体も心も気持ち悪いほど違和感をいだく。
 あの細くてしなやかな身体を、蜂蜜色の髪を、最後まで陥落すまいと射ぬく強情な紅い瞳を、甘く溶ける声を、求めてしまってどうしようもない。

 あいつにとって俺は単なる熱の捌け口に過ぎないのに。

 それでも、抱くたびに沖田に対する想いは募る。
 伝わらぬ想いは苛立ちとなり、つい乱暴な抱き方になってしまう。
 そして、翌朝沖田の頬に残った涙の後が、自分勝手な土方を責めるのだ。

 総悟は俺を好きなわけじゃない。

 何度も想いを言葉にしようとしては、欲望のまま抱いた自分にその資格はないと、飲み込む。
 土方はただ近くに居たから抱くことができただけ。想いを告げて沖田に拒絶や嫌悪を向けられたら、今までの関係を続けることはできなくなる。そして沖田は、土方以外の誰かにその身を明け渡すのだ。

 もし俺以外のヤツが、あいつに触れたなら、俺は――きっと、殺す。

 沖田を何よりも大切にしたいのに、愚かすぎる独占欲が総てを奪えと囃たてる。

 いったい何が悪かったのか。

 歪んでしまった愛情を抱えて、土方はただ月に祈った。

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