小説
□夏の夜の悪夢
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土方と別れて三日目。
元々甘い睦言を交わす事もなかった俺たちは、褥を供にしなくなっただけで、表面上は変わりなかった。
一緒に食事をとる。
一緒に仕事をする。
たまに、悪戯を仕掛ける。
けれど、独りになって寝やすいはずの布団は何故か眠らせてくれない。
夏の湿度の高さも相まって、寝不足になっていた。
そんな時入った緊急依頼。
またどっかのバカ皇子の凶悪なペットが逃げ出したらしい。
眠気にふらつく体に気合を入れ、熱帯魚の様なカラフルエイリアンをバズーカで吹き飛ばす。
『ふぃ〜、悪く思うなよォ』
終わったと思って踵を返したその時、背中から押された。
『っ、総悟!!』
ジュッ!!っと焼けるような嫌な臭いと叫びに振り返る。
見えたのは、白煙を全身から吹きながら地面に膝を突く土方の後ろ姿。
『土方さんっ!?』
失うくらいなら意地なんか張らなかったのに。