小説
□拍手3
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隣から手が太股を遠慮なく撫で上げてきて、グラスを持っていた指先が震えた。
「――っおい、やめろ」
テーブルに隠れて見えないとはいえ、目の前には銀時が居るのに何を考えているのか。
「ククッ、今更どうってことないだろう」
手が、裾を乱して着物の中に侵入してくる。
「っ、晋助!!!」
声を荒げると、銀時が異変に気付いてくれた。
「へぇ、お前ら今でもヤってんの?」
・・・。
「なかなか会う機会がなくてな。普段は女で抜いてるが、こいつよりイイ奴は知らない」
「一生近づくな、獣が。大体、貴様は俺以上に真選組に目を付けられて居ると言うに、なぜこのような処に居るのだ。答えろ」
高杉は懐から煙管を取り出し、答を焦らすように一服した。
煙を吐き出しながら、桂の肩を抱き寄せ、
「オマエに逢いに来た」
ザワザワザワァァア。
「気色悪いわっこの外道!俺の半径100km以内に近づくな!!!」
「オマエだって、俺に逢えず淋しかったんだろう?ほら、ココも・・・」
「誰がっ、あっ、この!!」
「ホラ、言えよ。恋しくて堪んねぇんだろ」
「やめっ、くっ、ああっ!!!」
「ククッ、可愛がって「やめなっ!!!」
本格的にアブなくなってきたその時。
ガシャーン!
背後から物凄い勢いで飛んできた灰皿が、セクハラしていた高杉に直撃した。
「お客さん、この店はお触り禁止なの。そーゆーコトやるなら別の店いきな」
・・・後頭部から血を流しテーブルに伏せた高杉からは返事が無い。
ただの屍のようだ。
「・・・あー、死んだんじゃね?コレ」
「っ、しっかりしろ晋助!!!傷は浅いぞ!」
「お客さん、出ていけってんだろっ!」
気絶していることに気が付かず、キレた西郷殿が逞しい拳を振り上げる。
既に意識が無い高杉の頭に、止めの一発が入り、顔がテーブルにめり込む。
あまりに容赦無い攻撃に、さすがに銀時も顔を引きつらせた。
「がはははっ、ココまで攻撃してもウンともスンとも云わないなんて、気に入ったわ!アタシう〜んとサービスしちゃう」
血塗れの高杉を片手に、酒ビンを振り回す西郷殿はやけに上機嫌。
完全に酔っていた。