小説
□拍手4
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「なんだとコラッ!その頭丸刈りにするぞ!」
子供の気持ちを理解できない土方。
「たーすーけーてー、近藤さん!
クソひじかたが、自分の十円ハゲを隠そうと、おれの髪を狙うんでさぁ」
子供は一番信頼できる大人に助けを求める。
それが何だか気に食わない土方。
ぱんっと開け放たれた障子の向こうから、事情を知らないゴリラ顔が覗く。
「なにィ!?トシの頭はズラだってぇ!!」
しかも多大なる聞き間違いをしている。
「トシ、自分を隠すのはよくない。俺なら大丈夫だ、お前が総若白髪でも、バーコードでも、ありのままのお前を受け入れるぞ!!」
「受け入れられるかどアホッ!!そんな優しさいらねぇよ!」
「大丈夫だ、仲間だろう、そのくらいじゃ俺たちの友情は崩れねぇ!」
「大丈夫じゃねぇのはあんたの頭で、俺の友情は既に手遅れだっ!」」
「なにぃ!?
俺は頭も下もモサモサだぞォ!」
「誰もそんなこと聴いてねぇよ!」
二人の言い合いを見て、いつもなら、『成功したぜィ』と黒く笑っているはずなのに。
沖田はただ下唇を噛み締めた。
小さな胸に抱いたのは。
幼く拙い嫉妬心。
御粗末様。
きっと、チビ沖田は何となく気が付いていると思います。土方は純粋な子供の視線が後ろ暗く、目を逸らし続けてるといい。