小説
□日記ss2
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明けまして(沖→土)
吐く息が白い。
「さみぃなァ・・・」
神社の入り口付近。大晦日だってゆーのにどっかのバカ野郎の所為で警備なんてことをやってる。
周りは家族連れやカップルばっかで、殺気立ってるヤツもいない。真面目に仕事してる自分が阿呆みたいだ。
「・・・寒っ」
こんなときこそ人肌恋しくなるというのに、湯たんぽ代わりのあの野郎は、ここ一ヵ月顔も見せやしねぇ。
新年明けて一番最初に挨拶したいのはもちろん近藤さんだが、居たらついでに土方にも「今年こそアンタの息の根を止めてやりまさぁ」ぐらい言ってやるのに。
「・・・土方死ねーっ!」
「んのくそガキ!!何言ってやがる」
「!!?」
書類の山に取り囲まれて、ここにいないはずの土方がそこに立っていた。
走ってきたのか、荒い吐息が周囲を白く染めている。
「アンタ、何でこんなところに・・・」
「なんでってお前・・・あっ、ヤバい時間が!」
何か焦った様子で腕時計を見た土方に、腕をひっぱられる。
「3、2、・・」
「 っ!」
カウントの最後に、ついばむような軽いキス。
「明けましておめでとう。今年もよろしくな、総悟」
珍しく見せた土方の満面の笑みに、顔が焼けたように熱くなる。
なんつーこっ恥ずかしい男なんだっ!!
だけど、おれの口は勝手に
「こっ、こちらこそ・・・」
なんて、どこのバカップルだ、俺たち。
注意したり木陰に隠れる暇もなく、神社の階段の上、真っ赤な鳥居の下。
制服を着たまま、男同士。
年越しちゅーをしたおれたちは、とんでもなく目立っていた。
A HAPPY NEW YEAR!!
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