小説

□フェザー
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 切なくなって、目の前の黒い前髪をゆっくり掻き上げると男前の顔が露になる。
しっかりした作りの骨格だけれど決してゴツくはなく、鋭利な鼻や顎のラインがキレイだ。。切れ長な目が今は閉じられていて、長い睫毛が被っている。薄く開かれた唇は、女の人のように艶やかに濡れていて――・・・。
 唇から目が離せなくなる。
 まるで、火に誘われた虫のように引き寄せられるのを止められない。
 自分のソレをそっと重ねた。

「んっ・・・」

 口を塞がれた土方さんが小さく呻く。
 ソレにびっくりして、勢い良く身体を離した。
 幸いなことに、熟睡している土方さんは起きない。 子供みたいに無防備な寝顔をみて、おれの口から本音がこぼれ落ちる。

「すき・・・」

 寝ている奴を相手に何をやっているんだろう。
頬がカッと焼けるように熱くなって居ても立っても居られなくなって、急いで部屋から逃げ去った。








 だから、おれは知らない。
 おれが逃げた後、土方さんがムクリと起き上がって、顔を真っ赤に染め、唇を押さえていたことを。
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